東京・大阪で大手企業向け2社に対して『物流下請法研修会』を実施しました(2025年11月)

2025年11月、東京と大阪の2社の大手企業に対して、物流部門・法務部門・調達部門を対象とした物流下請法(2026年1月施行)実務研修会を開催しました。
今回の研修では、来年1月に迫る物流下請法の施行に向け、荷主企業が抱え込んでいる実務リスクを一つひとつ洗い出し、社内で構築すべき「物流ガバナンス体制」について、具体的な事例を交えながら解説しました。

1.荷主企業が抱える『契約書の外側』に潜むリスク構造

研修の冒頭では、企業の現場で実際に起きている問題を参加者と共有しました。現場判断で出発時刻が突然変わることや、依頼内容がはっきりしないまま作業が進んでしまう状況、理由が曖昧なままで放置される待機時間など、どの企業でも見られる典型的な課題が多くあります。さらに、追加費用の扱いが部署ごとに異なるために判断が分かれてしまうケース、拠点ごとで仕様変更の基準が揺らぎ現場が混乱する場面、そして物流子会社の役割が本社や委託先との間で曖昧なまま運用されているという声も聞かれました。
加えて、正式な契約書ではなく口頭やメールだけで重要な指示が飛び交う『契約書の外側』 の運用も多くの企業に共通しており、制度施行後は真っ先に問題化し得るポイントです。
特に大手企業では拠点や関係する部署が多い分、誰が何を決めるのかどこまでが荷主の責任なのかが曖昧になりがちで、これがリスクの温床となっている現実を整理しました。

研修では、こうした構造的な課題を、法務・現場・経営という三つの視点から体系的に捉え直し、制度施行後に求められる社内整備の方向性を示しました。

2.荷主側の法務・物流を長年担ってきた実務者だからこそ伝えられる内容

当事務所代表 楠本浩一は、長年にわたって荷主企業の物流部門および物流子会社で、法務・契約・運行管理・内部統制を担当してきました。荷主側として現場を支え、物流子会社と委託先の調整を行い、日々の運行トラブルや契約問題に向き合ってきた経験があります。

そのため今回の研修でも、単なる法令解説ではなく、荷主の組織構造や現場オペレーションの実態を踏まえ、どの順番で発注プロセスを組み直すべきか、業務仕様書をどう設計すべきか、時間変更をどう扱うべきか、価格交渉の進め方をどこまで明確化するべきか、といった “荷主にしか手を入れられない領域” を中心に話を進めました。物流子会社と委託先の役割の切り分けや、複数拠点を横断した統一ルールづくりなど、荷主企業の内部構造に深く関わる内容は、多くの参加者にとって新鮮であったようです。

参加者からは、「これまでは運送会社側の問題だと思っていたものが、実は荷主側の運用に原因があったことがよく分かった」「変えるべきポイントが明確になった」「社内でプロジェクトを立ち上げる決断ができた」といった声をいただきました。

3.2026年1月物流下請法の改正施行は『終わり』ではなく『始まり』

2026年1月に施行される改正下請法は、荷主企業にとって物流ガバナンスを再構築するための入口にすぎません。研修を通じ、多くの企業が、契約や業務プロセスの整理だけでなく、指示体系の明確化、委託ガバナンスの設計、証跡の管理方法、コンプライアンス教育など、社内の幅広い領域で見直しを進める必要性を強く感じておられました。

物流改革の本質は、運送会社の努力だけでは決して実現できません。荷主側がどの領域を見直すべきかを正しく理解し、社内で具体的な行動に落とし込むことこそが、2026年以降の企業競争力を左右します。

4.研修内容をもとにした「物流下請法適正化プロジェクト」の受付を開始

今回の研修の内容をさらに深掘りし、荷主企業が1年で物流ガバナンス体制を完成させるための物流下請法適正化プロジェクト(1年限定・オーダーメイド) の受付も開始しています。