貨物自動車運送事業法の改正により、違法な白ナンバートラック(白トラ)による有償運送を委託した側(荷主や排出事業者)も処罰対象となりました。
白トラとは、白ナンバートラックで有償運送を行う違法行為の俗称です。正式には貨物自動車運送事業法違反となり、産業廃棄物収集運搬の現場でも長年グレーに扱われてきました。
✅白ナンバートラック関与の荷主等への罰則は100万円以下の罰金。
✅白ナンバートラックの関与が疑われる荷主等はトラック・物流Gメンによる是正指導の対象
(国土交通省資料より)
しかし、本当も問題は罰金ではありません。問題は企業の統治能力が問われることです。
もし、あなたの会社が無許可の白ナンバートラックの産業廃棄物収集運搬事業者に運送を委託していた場合、このようなことが起きてきます。
🟦内部監査で是正指示
🟦取締役会への報告
🟦社内統制の不備指摘
🟦コンプライアンス体制の欠陥認定
🟦株主・金融機関への説明責任
これは、現場だけのミスでは済まされません。
1.この記事を書いているのは誰か
本記事は、行政書士法人運輸交通法務センター 代表社員・楠本浩一が執筆しています。
私はパナソニックの物流部及び物流子会社に出向し20年以上、現場と法務の両側に携わり、企業の法務責任者として運送委託・産廃スキーム・契約設計・行政対応・内部監査まで実務で統括してきました。
現在は運送業専門の行政書士法人として、
🟦一般貨物(緑ナンバー)許可
🟦白ナンバートラックの是正案件
🟦荷主側の委託責任整理
🟦行政監査対応
🟦物流ガバナンス体制の再設計
を専門領域として扱っています。
また、『荷主と物流会社のための 物流下請法と「法令違反」防止ガイド』を出版し、荷主側の委託責任・ガバナンス設計を主軸に実務支援を行っています。
私は「運送会社側の手続き屋」ではありません。荷主の委託責任と物流ガバナンスを専門に扱う実務家です。
✅現場で何が起きるか。
✅公正取引委員会やトラック・物流Gメンは行政調査の際にはどこを見るか。
✅監査法人や金融機関はコンプライアンス不備に対してどう評価するか。
すべて実案件で見てきた立場から書いています。
これは一般論ではありません。
実際に企業が詰むパターンを何度も見てきた人間の警告です。
2.あなたの会社が失うもの
取引先・金融機関かたの評判
違法業者を使っていた企業、このレッテルを簡単に消すことはできません。
官公庁や大手デベロッパー等への入札資格
公共工事や大手案件では、コンプライアンス体制の欠陥は即失格理由になります。
内部統制の評価
監査法人はこう見ます。なぜ、発注前に許可を持った業者かどうか確認していなかったのか。これは内部統制上の重大な欠陥に直結します。
取締役の責任
委託先が適法な事業者かどうかの確認は、経営責任の領域になります。
3.なぜ産業廃棄物収集運搬が危険なのか
産業廃棄物収集運搬の業界は構造的に
✅長年の商慣行で白ナンバートラックの運送が見逃されてきた
✅産業廃棄物収集運搬は廃掃法の対象で貨物自動車運送事業法の対象外という誤った認識が広がっていた
✅現場任せになりやすく本社や管理部門のガバナンスがきいていない
そのため、是正対象になりやすい分野です。昔からやっているから大丈夫、今まで何も問題がなかったから大丈夫という判断が最も危険です。
4.今確認すべきこと
あなたの会社は、まず以下のことを確認してください。
✅発注先は緑ナンバー(一般貨物運送事業の許可事業者)か
✅契約形態は適法か
✅委託スキームに抜け道や裏技がないか
✅社内規程は法改正に対応しているか
1つでも曖昧なら、リスクは顕在化しています。
5.白ナンバー(白トラ)と緑ナンバーの違い
| 項目 | 白ナンバー | 緑ナンバー |
| ナンバープレート | 白色 | 緑色 |
| 法的位置づけ | 自家用 | 事業用 |
| 有償運送 | ❌不可 | ⭕可能 |
| 運送業の許可 | ❌そもそも営業不可 | 必要 |
| 行政の監督・チェック | ほぼなし | 定期的な監査・指導あり |
| 2026年4月以降の取扱い | 発注側も取引リスク | 正規ルート |
白ナンバーは自社の荷物を自社で運ぶためだけに使う車両です。他社の荷物(産業廃棄物を含む)を対価を得て運ぶことはできません。
一方、緑ナンバーは、国の許可を受けた運送事業者として、正式に有償運送ができる車両です。
今回、問題になっているのは、白ナンバートラックなのに、実態は運送業になっているケースです。
そして2026年4月以降は、それを使った発注側も責任を問われます。
6.Q&A
Q)産業廃棄物収集運搬の許可を持っている業者なら問題ないのでは?
A)関係ありません。産廃収集運搬の許可と、貨物自動車運送の適法性は別物です。産廃の許可があっても、白ナンバーで有償運送を行えば違法です。そして2026年4月以降は、それを委託した発注側も処罰対象になります。
Q)運送費として払っていません。工事費や処分費に含めています。
A)アウトです。名目ではなく実態で判断されます。
・車両を出している
・距離や回数に応じて対価が発生している
・運送が業務の一部になっている
この条件がそろえば有償運送です。請求書に「運送費」と書いていなくても関係ありません。
Q)白トラ(白ナンバートラック)でも今まで問題なかったですが。
A)白トラは以前から違法でした。2026年4月以降は発注した荷主や排出事業者側も処罰対象に加わりました。
Q)長年の取引先なので、急に切れません。
A)違反した発注企業は、トラック・物流Gメンの是正対象になるとはっきり明記されています。長年の関係を考慮してもらえません。見るのは、発注時点で適法だったか、確認・チェック体制があったか、だけです。情実は一切評価されません。
Q)現場にすべて任せていますQ)現場にすべて任せていますが、それでも発注側の責任になりますか?
A)なります。今回の改正は発注側のガバナンスが問われます。現場判断だったとしても、取締役会、法務部門、コンプライアンス部門が責任を免れることはできません。
Q)白ナンバートラック事業者への発注が発覚したら、実際に何が起きますか?
A)典型的な流れは次の通りです。
✅通報により行政からの連絡
✅トラック・物流Gメンの立入調査
✅是正指導
✅改善報告書の提出しすべて緑ナンバーの運送事業者へ発注を変更する
トラック・物流Gメンから是正指導を受けた場合は、取引先・金融機関から信用失墜につながり企業の経営全般に影響します。
7.本質的な問題
今回の改正は、白ナンバートラックを取り締まる法律ではありません。発注側のガバナンスを問う法律です。違法業者の問題ではなく、違法業者を使った企業の問題になります。
取引停止は突然起きます。取引先、社内、一般市民からの通報、どこから火がつくか分かりません。
しかし一度発覚すれば、即時是正・発注停止・社内処分・対外説明と日常業務に大きな混乱が生じます。
8.今取るべき行動
荷主・排出事業者の皆さんは今すぐに次の4点を確認し対応してください。
発注先が緑ナンバーかどうかの確認
✅白ナンバートラックの事業者を排除の社内通達を発行
✅契約スキームの再点検
✅業者に緑ナンバー取得を正式要請
対応が遅れた会社から順に、市場から信用を失います。経営判断の問題です。白ナンバー産廃業者を使い続けるのか。法改正に合わせて、適法な運送体制へ是正するのか。これはコストの問題ではありません。企業存続の問題です。
9.いま取引している産業廃棄物収集運搬事業者に、必ず伝えてください
白トラ(白ナンバートラック)の産廃収集運搬業者と取引している可能性があるなら、まず行うべきことは一つです。
「緑ナンバー(一般貨物自動車運送事業)を取得してください」と正式に伝えること。
それだけです。取得できない場合は、取引を継続しない。これは現場判断ではなく、経営判断です。
これが、産業廃棄物収集運搬事業者へお伝えするテンプレートです。
なお、
👉どこに相談すればいいのか分からない
👉普段お付き合いのある行政書士が運送業はには詳しくない
という場合は、「運送業専門で緑ナンバーを扱っている行政書士に相談するように」と伝えてください。
重要なのは誰に頼むかではなく確実に是正させること。
発注側が迷っている時間はありません。
・産廃収集運搬事業者のための 緑ナンバー取得・緊急対応ページ(2026年4月法改正)
10.当法人は運送業専門の行政書士法人です
当法人は、運送業専門です。建設業、相続、VISAの手続きはやらない行政書士法人ですので、運送に関する専門性を深堀しています。
運送業の許可申請だけを行う法人ではありません。許可取得後の業務運営体制の構築、監査対策まで新たに許可を取得された運送事業者に伴走しサポートしていきます。
代表社員 楠本浩一は物流業界で20年以上実務に従事し、法務責任者として現場と経営の両方を見てきました。机上論ではなく、現場で問題になるポイント、行政が見るポイントを前提に最短設計します。
運送分野の専門知識を有する複数の行政書士と複数の職員が在籍し、役割分担のもとで案件を管理しています。
関連記事
・産廃収集運搬事業者のための 緑ナンバー取得・緊急対応ページ(2026年4月法改正)
