最近、製造業や建設会社の現場で、産業廃棄物の運び方が静かに変わり始めています。
※白トラとは、貨物自動車運送事業の許可を受けていない自家用の白ナンバートラックのことをいいます(以下、白トラと表記)。
こうした動きは、偶然ではありません。
2026年4月1日施行の貨物自動車運送事業法改正を前に、荷主・排出事業者側の自主是正がすでに始まっているからです。
1.世間の大手企業は、すでに動き始めています。
✅全事業場に対する白トラ使用の有無アンケート
✅産廃収集運搬業者リストの再点検
✅緑ナンバー車両であることの確認の義務化
✅現場への通達発出
ここまで実施している企業も珍しくありません。
そして一番怖いのは、これです。
これは、現実に起きています。
現場は「無理がきくから」「急ぎだから」「時間がないから」という理由で動きます。しかし、法改正後に責任を問われるのは本社・経営側です。
2.白トラ問題は「突然終わる」のではありません
白トラは以前から違法でした。ただし現場では、こうした理由で温存されてきました。
🟨処分費や材料費、工事費に含まれており運送費を払っていない。
🟨産業廃棄物収集運搬の許可を持っている
🟨産業廃棄物だから運送業の許可はいらない
しかし今回の改正で決定的に変わったのは、使った側(荷主・排出事業者)も処罰対象になったこと、この一点です。
3.国土交通省の見解
この点については、すでに国土交通省が公式に結論を出しています。
令和7年8月8日付で公表された法令適用事前確認手続(いわゆるノーアクションレター)において、
産業廃棄物の収集運搬であっても
✅他人の需要に応じ、有償で、自動車を使用して運ぶ場合
は貨物自動車運送事業法第3条の適用対象になると明確に示されました。
さらに、2026年4月1日施行の改正法以降は、そのような運送を「緑ナンバーの許可を持たない事業者」に委託した側(荷主・排出事業者)は、処罰対象になるという点まで、国として正式に整理されています。
これまで自己解釈や慣行で正当化されてきた白トラでも大丈夫という運用は、行政解釈上、完全に否定されました。
これは現場レベルの解釈ではありません。国土交通省物流・自動車局が文書で示した公式見解です。
🟨処分費や材料費、工事費に含まれており運送費を払っていない。
🟨産業廃棄物収集運搬の許可を持っている
🟨産業廃棄物だから運送業の許可はいらない
こうした説明は、もはや通用しない段階に入っています。
4.白トラ問題は、現場の話ではなく、経営と統制の問題になります
「うちは大丈夫か?」という不安が出た時点で、もう動くべきです。
いま、こう感じていませんか。
白トラ問題は、ある日突然、行政処分でアウトになる話ではありません。
その前に必ず、
という社内点検フェーズが入ります。
こうしたプロセスを経て、水面下で整理が進んでいきます。そして静かに、白トラの事業者はフェードアウトしていきます。逆に、何も問題提起されずスルーされている荷主・排出事業者は、自社のガバナンスが本当に機能しているのか、一度疑うべきでしょう。
5.本社が今やるべきこと
本社は、今一度、全事業場に対して再点検を行うべきです。
最低限、次の3点です。
①現在の産廃収集運搬車両は緑ナンバーか
②運送契約書が存在し、業務範囲が明確になっているか
③白トラ車両が構内・現場に入っていないか
白トラ車両は、ナンバープレートの色ですぐに見分けがつくため近隣住民からトラック・物流Gメンへの通報やSNS投稿で事態が大事になりやすいです。
必要であれば、全拠点でアンケートを実施してください。これはやり過ぎではありません。むしろ、やっていない会社の方が危ういです。
重要なのは、どう是正するかの即断です。
6.言い訳をしてくる事業者への対応
もし現在取引している産業廃棄物収集運搬業者が、
🟦うちは大丈夫です
🟦いま準備中です
🟦運送費としてもらっていないから問題ありません
と言っているなら、口頭説明を信じないでください。
必ずこのページをそのまま渡してください。
・産廃収集運搬事業者のための 緑ナンバー取得・緊急対応ページ(2026年4月法改正)
これは荷主・排出事業者向けのぺージではありません。白ナンバーで運んでいる事業者が、緑ナンバーへ転換するための実務ページです。
読んだうえで
🟦本当に緑ナンバーを取得できるのか
🟦いつまでに対応できるのか
🟦現実的に継続取引が可能か
を書面で回答してもらってください。
判断を相手任せにしないこと。これが、いま排出事業者に求められている最低限の統制です。
・産廃収集運搬事業者のための 緑ナンバー取得・緊急対応ページ(2026年4月法改正)
7.白トラ問題は法律の解釈ではなく現場の問題です
白トラ問題は、ある日突然マスコミに報道されるリスクではありません。内部監査から始まり、是正要請が入り、静かに整理され、水面下で業者が入れ替わる。
その流れの中で、うちは遅れていると気づいた企業から動きます。
行政に立入検査に入られて指摘されてから直す会社と、指摘される前に整えた会社では、その後の評価はまったく違います。荷主・排出事業者に求められているのは、完璧な法解釈ではありません。行政にも取引先にも世間にもきっちりと説明できる状態を、先に作っているか。
それだけです。
8.この記事を書いているのは誰か
本記事は、行政書士法人運輸交通法務センター 代表社員・楠本浩一が執筆しています。
私はパナソニックの物流部及び物流子会社に出向し20年以上、現場と法務の両側に携わり、企業の法務責任者として運送委託・産廃スキーム・契約設計・行政対応・内部監査まで実務で統括してきました。
現在は運送業専門の行政書士法人として、
🟦一般貨物(緑ナンバー)許可
🟦白ナンバートラックの是正案件
🟦荷主側の委託責任整理
🟦行政監査対応
🟦物流ガバナンス体制の再設計
を専門領域として扱っています。
また、『荷主と物流会社のための 物流下請法と「法令違反」防止ガイド』を出版し、荷主側の委託責任・ガバナンス設計を主軸に実務支援を行っています。
私は「運送会社側の手続き屋」ではありません。荷主の委託責任と物流ガバナンスを専門に扱う実務家です。
✅現場で何が起きるか。
✅公正取引委員会やトラック・物流Gメンは行政調査の際にはどこを見るか。
✅監査法人や金融機関はコンプライアンス不備に対してどう評価するか。
すべて実案件で見てきた立場から書いています。
これは一般論ではありません。
実際に企業が詰むパターンを何度も見てきた人間の警告です。
9.当法人は運送業専門の行政書士法人
当法人は、運送業専門です。建設業、相続、VISAの手続きはやらない行政書士法人ですので、運送に関する専門性を深堀しています。
運送業の許可申請だけを行う法人ではありません。許可取得後の業務運営体制の構築、監査対策まで新たに許可を取得された運送事業者に伴走しサポートしていきます。
代表社員 楠本浩一は物流業界で20年以上実務に従事し、法務責任者として現場と経営の両方を見てきました。机上論ではなく、現場で問題になるポイント、行政が見るポイントを前提に最短設計します。
運送分野の専門知識を有する複数の行政書士と複数の職員が在籍し、役割分担のもとで案件を管理しています。
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