長時間の荷待ち・無償の附帯作業でも下請法(取適法)違反の対象に 勧告を受けなくても物流は止まる【製造業・流通業・小売業必読】

令和7年12月12日、公正取引委員会はセンコー株式会社に対して長時間の荷待ち契約にない附帯作業を無償で長期間にわたって行わせ、下請法上の不当な経済上の利益の提要要請の禁止にあたるとして勧告・企業名公表を行いました。

センコー株式会社の下請法勧告は、特別な事件ではありません。いま全国で起きているのは、勧告の前段階で物流が止まる現実です。勧告まで至らなくても、公正取引委員会の指導やトラック・物流Gメンの要請を受けただけでそれへの対応や改善報告書の対応だけで現場や法務部門が混乱し、売上減に直結する、といったフェーズがすでに始まっています。

※下請法は現在名称を変更し取適法となっていますが、勧告日付が令和7年12月のため以下、下請法と表記しています。(以下も下請法と表記)

目次

1.これまでの減額・買いたたき型での違反とは何が違うのか

これまで下請法の勧告といえば、一方的な運賃の減額や買いたたき、協賛金・リベートの強要といった「金額そのもの」に関する優越的地位の濫用が中心でした。つまり従来は、価格交渉の延長線上での違反という位置づけだったのです。ところが今回のセンコーの下請法勧告事例は、性質がまったく異なります。問題とされたのは長時間の荷待ちと、無償の附帯作業(荷役等)という物流現場の運用実態そのものです。

これは重大な転換点です。公正取引委員会や国土交通省の関心が「いくらで運ばせたか」から「どう使ったか」「どう待たせたか」へ移行したことを意味するからです。言い換えると、これまでは契約書と請求書の世界で語られていた下請法が、今回から現場オペレーションの世界に踏み込んできた、ということです。ここを読み違えると、「うちは契約書をきっちり締結しているから大丈夫」という最も危険な誤解に陥ります。今回の勧告が示したのは、物流をどう設計しているかそのものが問われる時代に入ったという明確なシグナルです。

2.長時間の荷待ちと無償の附帯作業という新しい摘発領域

今回、センコーが下請法違反で指摘されたのは大きく二点です。

第一に長時間の荷待ち第二に無償の附帯作業(荷役等)です。重要なのは、これが単なる現場の行き違いや一部拠点の逸脱ではなく、構造として下請運送会社に不利益を押し付ける運用になっていたと認定された点にあります。センコー側の都合で発生した待機について合理的な対価を支払わず、また本来は荷主側・元請側で行うべき荷役や附帯作業を無償で行わせていたことが、「不当な経済上の利益の提供要請」に該当すると判断されました。

この判断が重いのは、運賃を払っているのだから多少の待機や作業は込みだろうという長年の業界感覚を、制度として正式に否定したからです。運ぶ対価(運賃)と、待たせる料金(待機料)と、作業させる料金(荷役料)は別物であり、切り分けて支払うべきだという考え方が、下請法レベルで明確化されたということです。さらに本質は金額ではなく、なぜ待たせたのか、なぜ無償で作業させたのかという業務設計そのものに踏み込んでいる点にあります。行政が見ているのは表層の支払有無ではなく、待機と無償作業が発生する構造です。

3.実務の本当の地獄は「勧告前」に始まっている

~公正取引委員会の指導とトラック・物流Gメンの要請フェーズ~

多くの荷主は「勧告を受けたら大変」と誤解しています。しかし実務で本当に厳しいのは、その前段階です。最初は一本の電話や封書で始まります。「取引状況について話を伺いたい」「契約書と直近の取引資料を提出してほしい」。この時点では勧告という言葉は出ませんが、ここから資料提出と説明負荷が加速度的に増えます。

典型的には、物流委託契約書、運賃表、請求書、待機時間の記録、荷役作業の実態などが次々に求められます(この提出物は企業により増減します)。そして多くの企業はここで詰まります。
✅契約と現場が一致していない
✅待機時間を正式に管理していない
✅荷役の責任範囲が曖昧
✅誰が指示しているのか社内でも説明できない

このズレが、提出資料と現場説明の両面から露呈するからです。

次に行われるのが現場へのヒアリングです。運送会社への発注、倉庫管理、バースの町状況、下請事業者への委託など、実運用に触れる箇所が確認されます。行政が見ているのは実際どう運用されているかただ一点です。ここで本社説明と現場実態が食い違い、現場担当者が昔からこうしていると答え、下請事業者側から別の証言が出ると、個別ミスではなく構造の問題だと判断されます。その瞬間から、物流部門だけでは処理できなくなり、法務・総務・営業・コンプラ・経営層を巻き込む社内対応に変質します。勧告が出る前に、すでに会社は消耗し、通常業務は確実にマヒしていきます。

4.勧告されなくても会社は止まる

~SNS時代の「実質企業名公表」という見えない制裁

多くの荷主は勧告されなければ表に出ない社名公表されなければ大丈夫と考えがちです。しかし現実に現場の業務がマヒしてしまうのは、公式発表ではなく現場レベルの噂です。調査やヒアリングが始まれば、倉庫やバース、下請事業者、ドライバーなど必ず現場に人が入ります。その瞬間からあそこ公正取引委員会が入ったらしいでトラック・物流Gメンが来てたらしいという話が業界内で回り始めます。ドライバー同士のやり取りや下請事業者の雑談、現場担当者のSNSなどを通じて、正式な公表がなくても情報は数日で共有されます。これがSNS時代の実質的な企業名公表です。

噂が広がると、社外と社内が同時に揺れます。取引先は運用変更や継続可否を確認し、現場はこのやり方を続けてよいのかと萎縮し、社員はニュースになるのか会社として問題ないのかと不安になります。しかし勧告前の段階は「違反と確定していない」「調査中でコメントできない」という最も説明しづらいグレーゾーンであり、広報も強い発信ができません。その間にも混乱と疲弊は進行します。ここで経営者が初めて実感するのは、勧告されるかどうか以前に、このプロセス自体が経営リスクだという現実です。

さらに深刻なのは、その後の経営判断です。役員を含む経営陣は二度と疑義を持たれないことを最優先にし、必要以上にリスク回避へと舵を切ります。本来であれば合理的に許容できるグレー領域や挑戦的な施策まで封じ、スーパーホワイトを目指す方向へと振れ始めます。これは一見健全に見えますが、実態は“過剰防衛”です。

その結果、法務部門や現場には、
🟦証跡づくりのための膨大な書類作成
🟦承認フローの多重化
🟦チェックリストの乱立

が課されます。
契約書は厚くなり、稟議は増え、確認工程は二重三重に重なります。本来は業務を円滑に回すための統制が、逆に業務を止める装置へと変質していきます。現場は「判断してはいけない空気」に包まれ、法務は止める部署になり、挑戦は消えます。結果として企業は違反を回避できたとしても、スピードと競争力を失い、組織の機能は徐々に麻痺していきます。

勧告は行政処分の一形態にすぎません。しかし、勧告前の疑義段階から始まるこの一連のプロセスこそが、経営の意思決定力を奪い、組織を内側から弱らせる真のリスクなのです。

5.なぜ多くの荷主は「まだ大丈夫」と思ってしまうのか

~物流を現場任せにしてきた構造的な問題~

確かにリスクはあるが、うちはそこまでではないと感じている荷主も少なくないはずです。しかし問題は、悪意の有無ではありません。物流が長年にわたり構造な問題が放置されてきたことにあります。

第一に、物流は長らく現場の調整力によって回されてきました。多くの企業において物流は、営業の後工程であり、製造の付随業務であり、倉庫部門の管理対象の一部として位置づけられてきたため、契約が存在し運賃を支払い、表面的には大きなトラブルも起きていない限り、問題が見えにくかったのです。しかし実際の現場では、到着時間が曖昧で、トラックバースの運用が先着順となり、荷役範囲が暗黙の了解に委ねられ、待機が仕方ないものとして固定化してきました。つまり、制度で回してきたのでなく、人で回してきたということです。

第二に、業界慣行が安全装置として機能してきました。「昔からこうしている」「どこも同じ」「うちだけではない」という横並び感覚は、荷主側にとって強力な安心材料になり得ます。しかし行政は、もはや慣行を基準に判断していません。判断基準は、公正取引委員会の書面調査、標準的な運賃、下請法、トラック・物流Gメンの調査結果といった制度側に明確に移っています。慣行は、今や防御ではなく、むしろ是正されていない構造の証拠として扱われ得ます。

第三に、経営層が実態を把握できていないことが挙げられます。多くの企業で経営層は総物流費や年間契約額、主要運送会社との関係性は把握していますが、平均待機時間、無償で行われている附帯作業の実態、荷役責任の所在、到着時間の管理実態といった物流がストップする要因そのものは見えていません。問題は違反をしていることではなく、把握していないことです。把握していなければ説明も改善もできず、指導・要請フェーズに入った瞬間に“説明不能”が露呈します。

最後に、まだ大丈夫という心理が、事態を遅らせます。業務がうまくまわっている、勧告を受けていない、ニュースになっていない、取引先から指摘されていない。この四点は安心材料に見えますが、リスクは勧告で顕在化するのではありません。指導・要請・立入調査の段階ですでに始まっており、その段階は外から見えないため、まだ大丈夫という感覚が生まれやすいのです。したがって、問われているのは違反の有無ではなく、設計されないまま放置されている状態そのものだと言えます。これこそが、いま最も危険な状態です。

6.標準的運賃を払っていても安心できない理由

~問題は払った運賃ではなく荷主側の発注設計の問題~

ここで多くの荷主が口にするのが、「うちは標準的な運賃水準で払っている」「待機料も請求が来れば支払っている」という言葉です。一見すると問題はなさそうに見えますが、ここに大きな誤解があります。行政が見ているのは、いくら払ったかではなく、なぜその状況が発生しているかだからです。

そもそも標準的な運賃は、運賃、待機時間料、荷役料といった要素を区分し、支払うべき基準を示したものです。しかしその目的は払えばよいという免罪符を与えることではありません。むしろ、時間を浪費させるほどコストが増える設計にすることで、荷主側の行動変容を促す仕組みとして設計されています。つまり、待機料が常態化している、荷役料が毎回発生しているという状態それ自体が、物流を委託する構造に問題があると評価される可能性を内包しています。

また、たとえ待機料を支払っていたとしても、到着時間の分散ができていない、バース管理が機能していない、契約で荷役範囲が明確になっていない、附帯作業が慣行として固定化しているといった状態が残っていれば、行政からは「改善する努力をしていない」と評価され得ます。ここで問われているのは金額ではなく、待機や無償作業が発生する構造を放置していることです。

さらに、設計されていない物流は、必ずどこかで露呈します。
調査やヒアリングで確認されるのは、
✅なぜその時間に集中するのか
✅なぜドライバーがその作業をしているのか
✅契約上の責任は誰にあるのか
✅現場と契約は一致しているのか

といった点です。これらに答えられない場合、支払っていることが免罪符になりません。むしろ、構造を把握していないこと自体がリスクになります。

結局のところ、本質はガバナンスの有無です。標準的運賃は基準に過ぎず、それをどう運用し、荷待ちをどう減らし、荷役をどう切り分け、指示系統をどう明確にし、委託構造をどう整えるのかが一本で設計されていなければ、問題は繰り返されます。したがって分岐点は、金額を払っているかどうかではなく設計されているかどうかであり、行政が見ているのはまさにそこです。

この記事を書いているのは

本記事は、物流下請法の実務対応に長年携わってきた運送分野専門の行政書士が執筆しています。代表社員の楠本浩一は、物流業界で20年以上、荷主の物流部門と物流子会社、現場と経営の両側に立って実務に従事し、企業の法務責任者として契約設計、委託構造、現場運用を一貫して扱ってきました。机上のコンプライアンスではなく、現場で何が起きるか行政はどこを見るかを前提に、実務が止まらない設計を組むことを専門領域としています。

また、物流下請法の実務家として『荷主と物流会社のための物流下請法と「法令違反」防止ガイド』を出版し、制度解説にとどまらず、荷主・物流会社の双方が現場で直面するリスクと回避構造を体系化しています。本稿は報道や制度資料の焼き直しではなく、企業が指導フェーズに入った瞬間から何が起き、どこで詰まり、どこで疲弊するのかという実務の現場感覚を踏まえて構成しています。

7.事後対応型コンプライアンスは必ず破綻します

~事故が起きてから、行政の立入調査が入ってからでは遅い~

多くの企業が採用しているのは、いわゆる事後対応型のコンプライアンスです。すなわち、公正取引委員会からの指導、トラック・物流Gメンの要請、立入調査が入ってから動き、問題が指摘されてから直し、資料を求められてから整えるという後追い型の運用です。一見すると合理的に見えますが、物流の世界ではこのやり方はほぼ確実に破綻します。理由は単純で、物流の問題は「一箇所を直せば終わる」という性質ではないからです。

第一に、後追い対応は必ず部分最適に収束します。指導が入ると、企業は契約書を作り直し、待機料金の項目を追加し、運賃表を見直すといった対応に着手します。これらは必要な手当てではありますが、契約だけ直して現場が変わらない、現場だけ直して指示系統はそのまま、数字だけ合わせて運用は放置されるといった断絶が生じやすく、結果として待機は減らず、荷役の線引きは曖昧なまま残り、現場の混乱と管理部門の疲弊が長期化します。そして数か月後、同じ問題が再発します。ここで繰り返されるのは、違反を避けたつもりが、構造は何も変わっていないという現実です。
実際、トラック・物流Gメンの案件では、このパターンが極めて多く見られます。最初は「要請」や「働きかけ」という形で改善を促され、荷主企業は改善報告書を提出し、形式上は是正措置を完了します。しかし、設計レベルまで手を入れていないため、現場は徐々に元の運用へ戻っていきます。その結果、改善したはずなのに実態が変わっていないと判断され、イエローカードではなく、いきなりレッドカード、すなわち勧告に至るのです。つまり、勧告を受けた企業の多くは、何もしなかったのではなく、やったつもりで終わっていた企業です。

第二に、物流は積み上げ型であるため、後から直しにくいという構造的制約があります。トラックの到着時間調整、トラックバースの運用、荷役範囲、委託構造、指示系統といった要素が重なって一つの流れを形成しており、どれか一つだけを修正しても他が連動していなければ機能しません。したがって、事故が起きてから、あるいは指導が入ってから場当たり的に直しても、全体は整いません。整っていない状態で外形だけ取り繕うほど、現場は混乱し、説明は破綻します。

第三に、問題が起きたら考えるという前提自体がすでに通用しなくなっています。これまでであれば、多少の待機や無償作業は現場調整で吸収できました。しかし現在は、標準的運賃、公正取引委員会やトラック・物流Gメン、下請法(取適法)の枠組みが現場に直接介入する段階に入っており、問題が起きてから考えるのではなく、問題が起きない構造を最初から作っておくことが前提条件になっています。

対応型コンプライアンスとは火事が起きてから消火器を探すことに等しく、本当に必要なのは、そもそも火が出ない設計です。ここで初めて、物流を、誰が、どこまで、どう設計しているのかという問いが、抽象論ではなく経営上の現実として突きつけられます。

8.これからの荷主に求められるのは「物流ガバナンス」

~待機・荷役・契約・指示系統を一本で設計するという発想

ここまでの議論を整理すると、荷主に求められているのは単なるコンプライアンス対応ではありません。物流をコストとして処理するのではなく、経営管理の対象として再設計することです。本稿では、この発想を物流ガバナンスと呼びます。

物流ガバナンスとは、荷待ちはなぜ発生しているのか、誰が到着時間を決めているのか、荷役は契約上誰の責任なのか、契約と現場運用は一致しているのか、現場への指示はどこから出ているのかといった論点を可視化し、現場任せにせず、慣行に委ねず、属人的に回さず、会社として一元的に設計・統制することです。これは理念ではなく、指導・要請フェーズに入ったときに説明できる状態を維持するための実務要件です。

なぜ今それが必要かといえば、多くの荷主では物流の意思決定が分断されているからです。契約は法務、運用は物流、指示は営業、現場調整は倉庫という具合に、関与者が分かれているにもかかわらず、全体を統合して責任を持つ機能が存在しません。誰も全体を見ていない状態では、待機は仕方ないもとして固定化し、無償作業は協力関係として常態化し、責任の所在は曖昧なまま放置されます。そして制度が介入した瞬間に、全体を管理していなかったという事実が一気に露呈します。

実務で典型的に見られるのは、営業が納期だけを決め、物流が後追いで調整し、倉庫が現場判断で回し、下請事業者が無言で吸収するという構造です。平時は何とか回りますが、公正取引委員会やトラック・物流Gメンの立入調査が入った瞬間に誰が決めたのか分からない契約に書かれていない現場の判断だったという説明不能状態に陥ります。これが、立入調査が入った際に一気、答えられなくなってしまう理由です。

したがって、荷待ちだけ減らす、契約だけ整える、荷役だけ切り分けるといった部分対応では守れません。必要なのは、待機・荷役・契約・指示系統・委託構造を一本の線でつなぎ、現場→契約→社内体制→経営判断までを連動させる設計です。この設計がなければ、説明できず、再発を防げず、現場は迷い続けます。物流ガバナンスとは、違反を避けるための防御策ではなく、物流を止めないための経営インフラです。この視点を持てるかどうかが、これからの荷主の分岐点になります。

9.だから外部のプロフェッショナルの関与が必要になる

~単発対応ではなく、平時からの構造設計という選択~

ここまで読まれた荷主であれば、問題が「勧告されたらどうするか」ではないことはすでに明らかです。核心は、勧告に至る前の指導・要請フェーズに入らない構造を、平時からどう作っておくかにあります。ところが多くの企業は、トラック・物流Gメンが来てから、公正取引委員会から連絡が来てから、現場が混乱してから初めて外部専門家を探し始めます。しかし実務では、その時点ですでに、契約が整理されていない、荷待ちや荷役の実態が把握できていない、誰が指示しているのか社内でも分からない、過去データの提出に追われる、現場と本社が対立し始めるといった後戻りできない状態に入っています。

この段階からの対応は、ほぼ例外なく場当たり型になります。書類を整え、説明資料を作り、ヒアリングに付き添い、その場は何とか収まったとしても、構造は変わりません。結果として、数か月後に同じ問題が再発します。事後対応型コンプライアンスが破綻するのは、まさにこの循環が不可避だからです。

本当に必要なのは、待機・荷役・契約・指示系統・委託構造を平時から一本の線で設計しておくこと、すなわち物流ガバナンスの実装です。そしてこれは、単発の相談やスポット対応では成立しません。現場を見て、契約を見て、社内の動線を整理し、継続的に修正していくという伴走型でなければ意味がありません。そのために、外部の専門家を入れて1年程度時間をかけて再設計していくという形が必要になります。

加えて、物流の問題は法律だけ知っていても解けない現場だけ知っていても整わないという特性があります。契約と運用、制度と現場、経営と実務を同時に扱い、一本の設計に落とす能力が不可欠です。

当法人は運送業専門の行政書士法人であり、建設業、相続、VISA等の業務は行っていません。運送分野に特化し、許可取得だけで終わらせず、許可取得後の業務運営体制の構築や監査対策まで含めて伴走します。代表社員・楠本浩一は物流業界で20年以上実務に従事し、企業の法務責任者として現場と経営の両方を見てきました。机上論ではなく、現場で実際に起きる問題、行政が本当に見るポイント、社内で必ず詰まる箇所を前提に、最短距離で設計します。また運送分野の専門知識を有する複数の行政書士と複数の職員が在籍し、役割分担のもとで案件を管理しています。単なる「許可の代行」ではなく、運送事業者と荷主の双方が止まらないための実務設計を行うことが当法人の役割です。

10.下請法で勧告を受けるのは特別な会社ではない

~同じ構造は、すでにあなたの会社にも存在している~

下請法で勧告されるのは大企業だけ、物流会社の話で荷主には関係な、と距離を取ろうと感じた方もいるかもしれません。しかし結論から言えば、下請法で勧告を受けるのは特別な会社ではありません。

今回問題になったのは、長時間の荷待ち、無償の附帯作業、契約と現場の不一致、責任の所在が曖昧な運用といった、ごく一般的な物流現場で日常的に見られる構造です。これらは特定の大企業や一部の物流会社だけに存在するものではなく、多くの荷主企業において、昔からこうしている現場で何とか回っている下請事業者が調整してくれているという形で、長年にわたり静かに積み上がってきました。

違いがあるとすれば、まだ行政の指導や要請が入っていないかどうか、それだけです。

行政が見ているのは企業規模でも知名度でもありません。荷待ちがなぜ発生しているのか、誰が指示しているのか、無償作業が構造として組み込まれていないか。この一点です。そして現在、その確認作業はすでに全国で始まっています。
したがって、いま荷主に問われているのは、「違反しているかどうか」ではありません。説明できる構造になっているか止まらない設計になっているか、そこです。

物流は企業活動の末端ではありません。経営そのものです。センコーの下請法勧告事例は、たまたま表に出ただけに過ぎません。同じ構造は、すでに多くの企業の内部に存在しています。

気づいてから動くのか指摘されてから慌てるのか。その差が、これからの荷主の明暗を分けます。

目次