着荷主の荷待ちは誰の責任か
物流特殊指定改正で問題になる待機時間と費用負担
納品先でトラックが待たされている。しかし、その待機時間の費用を誰が負担するのかが決まっていない。
問題は、荷待ちを取引条件として扱ってこなかったことにあります。
物流現場では、待たせている現場と、費用を負担させられている相手が違うことがあります。納品先の受付が混んでいる。検品担当者が来ない。バースが空かない。指定時間に到着しているのに、荷降ろしが始まらない。
その待機時間は、着荷主の現場で発生しています。
ところが、運送事業者と契約しているのは、通常、発荷主です。運送事業者が追加費用を請求しようとしても、発荷主からは「納品先で起きたことだ」と言われることがあります。一方で、着荷主は「運送会社とは直接契約していない」と考え、待機時間の費用を意識していないことがあります。
その結果、誰かが待たせているにもかかわらず、誰も費用を負担しない。最終的に、運送事業者が待機時間を抱え込む。
ここに、着荷主起点の荷待ちが放置されてきた理由があります。
令和9年4月1日から施行される改正物流特殊指定では、着荷主起点の荷待ちが正面から問われるようになります。さらに、物流効率化法では荷待ち時間の削減が荷主側の責務として扱われ、トラック・物流Gメンも荷待ちの実態把握を進めています。
本記事では、着荷主の荷待ちを「現場の混雑」ではなく、待機時間と費用負担の問題として整理します。
この記事を書いた人
行政書士 楠本浩一(行政書士法人運輸交通法務センター 代表)
パナソニックの物流部門・物流子会社にて20年以上、全国100か所以上の物流拠点に入り、契約、発注、支払、附帯作業、荷待ち、荷役、委託先管理の実務を確認してきました。
著書:荷主と物流会社のための物流下請法と「法令違反」防止ガイド

1.荷待ちは誰の都合で発生しているか
荷待ちといっても、原因は一つではありません。
出荷する側の準備が遅れている場合もあれば、納品先の受入体制によって待たされる場合もあります。どちらも運送事業者から見れば同じ待機時間ですが、誰の都合で発生しているのかは異なります。
発荷主起点の荷待ち
まず、発荷主起点の荷待ちがあります。
たとえば、18時に積み込み予定としてトラックを手配したものの、製造が遅れて商品がそろっていない。ピッキングが終わっていない。出荷指示が直前に変わり、積み込み順を組み替える必要がある。こうした場合、トラックは出荷側の拠点で待つことになります。
この場合、荷待ちの原因は発荷主側にあります。製造、出荷準備、出荷指示、積み込み体制の遅れによって、運送事業者に待機時間が発生しているからです。
着荷主起点の荷待ち
一方で、着荷主起点の荷待ちは、納品先で発生します。
たとえば、朝8時から10時の間に複数の納品車両が集中している。受付を済ませても、前の車両の荷降ろしが終わるまでバースに入れない。バースが2台分しかないのに、同じ時間帯に10台近いトラックが集まっている。検品担当者が来るまで荷降ろしを始められない。構内ルールで指定時間より前には入れず、指定時間に入っても順番待ちになる。
こうした場面は、物流現場では珍しくありません。
納品先に到着したトラックが、受付を済ませたあと、バース前でエンジンを切って待っている。運転者が事務所に確認に行くと、「順番に呼びます」と言われる。30分、1時間と時間が過ぎ、ようやくバースに入っても、今度は検品担当者が来るまで荷降ろしが始まらない。
これは、特定の現場だけの話ではありません。
メーカーの物流部門や物流子会社の現場では、こうした待機が「いつものこと」として処理されていることがあります。誰かが悪意を持って待たせているわけではない。受付、検品、バース、構内ルールがそれぞれ通常どおり動いているだけです。
しかし、運送事業者にとっては、その時間も拘束時間です。
運転者は次の配送に向かえません。車両も次の仕事に使えません。1台のトラックが1時間、2時間待たされれば、その後の運行計画にも影響します。
問題は、その待機時間が、誰の都合で発生したものとして扱われているかです。
納品先の受付が混んでいたり、検品担当者が来なかったり、バースが空かなかったりして、指定時間に到着しているのに荷降ろしが始まらないことがあります。これらは、運送事業者の努力だけでは解決できません。発荷主が運送を依頼していても、実際に待機を発生させているのは、着荷主の受入体制である場合があります。
ところが実務では、この区別が曖昧なまま処理されてきました。
発荷主は、納品先で発生した待機について「自社の拠点で待たせたわけではない」と考える。着荷主は、運送会社と直接契約していないため、待機時間を費用として意識しない。運送事業者は、取引関係を考えて強く請求できない。
その結果、着荷主の現場で発生した荷待ちが、誰の責任としても扱われないまま残ってしまいます。
着荷主の荷待ちは、単なる待ち時間ではありません。
それは、納品先の受入体制によって発生した時間を、誰が費用として引き受けるのかという問題です。
2.費用は誰が負担してきたのか
着荷主起点の荷待ちで最も重要なのは、待機時間が発生していること自体ではありません。
その待機時間の費用を、誰が負担してきたのかという点です。
これまで、着荷主の現場で発生する荷待ちは、制度上も実務上も扱いにくい問題でした。運送事業者と契約しているのは、多くの場合、発荷主です。一方で、実際に待機を発生させているのは、納品先である着荷主の受付体制やバース運用である場合があります。
この関係の中で、待機時間の費用は明確に扱われないまま残されてきました。
運送事業者の側から見ると、荷待ち時間は確実に発生しています。運転者はその場に拘束され、車両も次の運行に回せません。1時間待てば1時間分、2時間待てば2時間分、運行計画に影響します。
しかし、その費用を請求することは簡単ではありません。
運送事業者が契約している相手は、通常、発荷主です。ところが、待機が発生している場所は納品先です。発荷主に対して「納品先で待たされたので待機料を請求します」と伝えても、「それは納品先の都合ではないか」と受け止められることがあります。
また、運送事業者にとって、発荷主は継続取引の相手です。今後の仕事や運賃交渉への影響を考えると、待機時間を細かく請求しにくいことがあります。特に、元請・下請の関係が重なっている場合、実際に待たされたドライバーの声が、発荷主や着荷主まで届かないこともあります。
そのため、待機時間が発生していても、運送事業者は「いつものこと」として処理せざるを得ない場合があります。
発荷主から見ると「納品先で起きたこと」になる
発荷主の側にも、費用負担を正面から扱いにくい事情があります。
発荷主は、運送事業者に運送を委託しています。しかし、荷待ちが納品先で発生している場合、発荷主から見ると、自社の出荷拠点で待たせたわけではありません。製造が遅れたわけでも、積み込み準備ができていなかったわけでもない。納品先の受付、検品、バースの都合で待機が発生している。
そのため、発荷主は「納品先で起きたこと」として扱いがちです。
しかし、運送事業者が追加費用を請求する相手は、基本的には発荷主です。ここにズレがあります。発荷主は、自社が直接待たせたわけではないと考える。運送事業者は、発荷主に請求するしかない。着荷主は、運送契約の当事者ではない。
この三者の間で、待機時間の費用が宙に浮いてしまいます。
着荷主は待機時間を費用として意識していない
着荷主の側では、そもそも待機時間を費用として意識していないことがあります。
納品受付で順番に呼んでいるだけ。バースが空いた順に入れているだけ。検品が終わってから荷降ろしを始めてもらっているだけ。現場から見ると、特別な要求をしているつもりはありません。
しかし、その「順番に呼ぶ」「空いたら入れる」「検品まで待ってもらう」という運用の結果、運送事業者には待機時間が発生しています。
着荷主が運送事業者と直接契約していない場合、その待機時間が着荷主に費用として請求される場面は多くありません。着荷主の現場担当者も、本社も、荷待ちが運送原価に影響していることを実感しにくい。結果として、受入体制の問題が金銭の問題として扱われないまま残ります。
この状態が長く続くと、荷待ちは「費用の発生する時間」ではなく、「納品のために当然発生する時間」として扱われるようになります。
トラックが待っている以上、そこには運転者の時間と車両の時間が使われています。本来であれば、その時間を誰が負担するのかを決める必要があります。発荷主が負担するのか。着荷主が負担するのか。発荷主と着荷主の取引条件の中で調整するのか。少なくとも、何も決めないまま運送事業者に残すべきものではありません。
運送事業者は請求しにくい。発荷主は納品先の都合だと考える。着荷主は費用として意識していない。
その結果、誰かが待たせているのに、誰も支払わない。
3.令和9年4月改正で費用負担の問題がどう変わるか
令和9年4月1日から施行される改正物流特殊指定では、着荷主起点の荷待ちが新たに問題となります。
ただし、ここで重要なのは、単に「着荷主も規制対象になる」という制度上の説明ではありません。
実務上大きいのは、これまで曖昧にされてきた待機時間の費用負担が、取引上の問題として問われるようになることです。
着荷主の受付、検品、バース運用、受入時間の集中によってトラックが待たされている。その待機時間について、運送事業者に追加負担が生じている。にもかかわらず、発荷主も着荷主も費用を負担せず、運送事業者に残している。
この状態が、令和9年4月以降はこれまで以上に問題になります。
改正物流特殊指定は、着荷主が運送事業者と直接契約していない場合であっても、着荷主の行為や受入条件によって発荷主の利益を不当に害する場合を規制対象に含めています。
つまり、着荷主が「運送会社とは直接契約していない」と考えていても、納品現場での待機が発生し、その負担が運送事業者や発荷主に残っている場合には、着荷主側の問題として扱われる可能性が出てきます。
誰も決めていない待機時間が問題になる
たとえば、着荷主の倉庫で毎朝8時から10時に納品車両が集中し、トラックが1時間以上待っているとします。発荷主はその実態を知らず、運送事業者も取引関係を考えて待機料を請求していない。着荷主の現場は「順番に呼んでいるだけ」と考えている。
この場合、誰も明確に「待機時間の費用を負担しない」と決めたわけではありません。
しかし、結果として運送事業者が待機時間を負担しています。
令和9年4月以降は、このような状態を「現場でよくあること」として放置できなくなります。着荷主の受入体制によって待機が発生しているのであれば、その待機時間について、発荷主、着荷主、運送事業者の間でどのように扱うのかを整理する必要があります。
費用負担は待機料だけの問題ではない
ここでいう費用負担とは、単に待機料を誰が支払うかという話だけではありません。
待機時間が発生したときに、その時間をどのように記録するのか。どの時点から待機時間として扱うのか。運送事業者に追加費用が発生した場合、発荷主が負担するのか、着荷主に求償するのか、発荷主と着荷主の取引条件の中で調整するのか。
こうした取り決めがないまま、納品現場だけが従来どおり動いている状態が問題になります。
これまでの実務では、荷待ちは「運送会社が我慢する時間」として扱われがちでした。発荷主にとっては納品先の都合であり、着荷主にとっては運送契約の外側の話だったからです。
しかし、改正後は、その整理では不十分です。
着荷主起点の荷待ちについては、待機時間を発生させている現場運用と、その費用を誰が負担しているのかを切り離して考えることはできなくなります。
令和9年4月改正で変わるのは、着荷主という名前が条文に加わることだけではありません。
待たせた時間を、誰にも負担させないままにしてきた取引のあり方が問われるということです。
4.物流効率化法が荷待ち削減を義務化した意味
着荷主の荷待ちを考えるうえで、物流特殊指定だけを見ていては不十分です。
物流特殊指定は、荷待ちや契約外の負担を運送事業者に押し付ける取引の問題を扱います。これに対して、物流効率化法は、そもそも荷待ち時間や荷役等時間を短縮し、トラック輸送を効率化することを求める制度です。制度の役割は異なりますが、求めている方向は同じです。
納品先でトラックを待たせ続け、その待機時間の費用も決めていない。こうした状態は、物流特殊指定の観点からも、物流効率化法の観点からも、放置できない方向に進んでいます。
物流効率化法では、荷主や物流事業者に対して、トラックドライバーの荷待ち時間や荷役等時間を短縮するための取組が求められています。ここでいう荷主には、発荷主だけでなく、物品を受け取る側である着荷主も含まれます。
着荷主も荷待ち時間の短縮を求められる
着荷主は、納品を受ける立場です。
受付の混雑、バースの不足、検品待ち、受入時間の集中によってトラックを待たせているのであれば、それは単なる「納品現場の都合」では終わりません。着荷主も、荷待ち時間の短縮に向けた対応を求められる立場になります。
さらに、一定規模以上の事業者は、特定事業者として指定される可能性があります。特定事業者になると、中長期計画の作成や定期報告など、より具体的な対応が求められます。
ここで重要なのは、荷待ち時間が「感覚」では済まなくなることです。
これまでは、納品先でどの程度トラックが待っているのかを、着荷主側が十分に把握していないケースがありました。現場では待っている。運送事業者は負担している。しかし、着荷主の本社や管理部門には、その実態が上がっていない。
この状態では、荷待ちを減らすことも、費用負担を整理することもできません。
物流効率化法のもとでは、荷待ち時間や荷役等時間を把握し、改善につなげることが求められます。特定事業者に該当する場合には、取組状況を計画や報告の中で説明する必要も出てきます。
これまで「現場で順番に受け入れているだけ」と考えていた運用が、荷待ち時間として記録され、管理対象になります。バース前で1時間待っている。検品待ちで30分止まっている。受付時間が集中し、毎朝同じ時間帯にトラックが滞留している。こうした事実が、単なる現場の混雑ではなく、改善すべき荷待ち時間として扱われるようになります。
物流特殊指定は、その待機時間の費用を誰が負担しているのかを問います。
物流効率化法は、その待機時間をなぜ発生させ続けているのかを問います。
この二つは別々の制度ですが、着荷主に求めている方向は重なっています。納品先の受入体制によってトラックを待たせないこと。待機が発生する場合には、その時間を把握し、取引条件や費用負担の問題として扱うこと。
荷待ちは、もはや現場の我慢で処理するものではありません。
着荷主にとって、荷待ち時間は、受入体制の問題であり、取引条件の問題であり、費用負担の問題でもあります。
5.トラック・物流Gメンが荷待ちの実態を把握する仕組み
着荷主の荷待ちは、これまで外から見えにくい問題でした。
トラックが納品先で1時間待っている。検品が終わるまで荷降ろしを始められない。バースが空くまで構内や周辺道路で待機している。こうしたことは現場では起きていても、発荷主や着荷主の本社に上がっていないことがありました。
しかし、その状態は変わりつつあります。
トラック・物流Gメンの活動や物流効率化法に基づく調査・報告の仕組みによって、現場で起きている荷待ちが行政に届きやすくなっています。
国は、物流事業者を対象とした調査などを通じて、荷主等の取組状況を把握する仕組みを整えています。荷待ち時間の短縮、荷役等時間の短縮、積載効率の向上などについて、荷主等がどのような対応をしているかが確認されます。
重要なのは、荷主側からの自己申告だけで判断されるわけではないという点です。
運送事業者側から見れば、どの納品先で待たされているのか、どの時間帯に混雑しているのか、どの荷主・着荷主の取引で待機が発生しているのかは、日々の運行の中で分かっています。
これまで、その情報は現場の不満として残るだけでした。
しかし、トラック・物流Gメンの活動が進むことで、そうした現場情報が、行政による働きかけや要請につながる可能性があります。さらに、公正取引委員会との連携により、荷待ちや附帯作業の問題が取引上の問題として扱われる場面も増えていきます。
「本社では聞いていない」「倉庫会社に任せている」という説明や、「現場で順番に受け入れているだけ」という認識だけでは、荷待ちの実態に対する答えになりません。
実際にトラックが待っているのであれば、その待機時間は、運送事業者側の記録や申告、行政の調査によって表に出てくる可能性があります。着荷主が把握していなくても、運送事業者は把握している。現場の管理会社が報告していなくても、ドライバーや運送会社の側には記録が残っている。
ここが、これまでと違うところです。
荷待ちは、着荷主の社内だけで「問題なし」と判断できるものではなくなっています。
納品先で待機が発生しているかどうか。待機が発生している場合、その原因は受付なのか、バースなのか、検品なのか、受入時間の集中なのか。その時間について、誰が費用を負担しているのか。
こうした点が、外部からも確認される可能性があります。
物流特殊指定だけでは整理しきれない場合がある
注意すべきなのは、物流特殊指定や取適法(旧下請法)の観点だけでは整理しきれない場合があるという点です。
令和7年には、着荷主・小売業であり、運送事業者と直接契約関係にない立場であっても、物流拠点で長時間の荷待ちを発生させている疑いがあるとして、トラック・物流Gメンによる対応の対象となった事例があります。
この事例は、着荷主が運送契約の当事者でなくても、納品先で長時間の荷待ちを発生させていれば、貨物自動車運送事業法上の荷主対応として問題になり得ることを示しています。
物流特殊指定の確認と、貨物自動車運送事業法上の荷主対応の確認は、分けて考える必要があります。
もちろん、トラック・物流Gメンの存在を、過度に恐れる必要はありません。重要なのは、現場で起きている荷待ちを、社内で把握し、説明できる状態にしておくことです。
荷待ちを「現場の調整」として処理し続けることは、もはや安全ではありません。
現場で起きていることが、行政にも届く時代になっています。
6.着荷主が確認すべきは費用負担の取り決めです
着荷主がまず確認すべきなのは、単に「荷待ちが発生しているかどうか」だけではありません。
荷待ちが発生した場合に、その待機時間の費用をどのように扱うのかが決まっているかです。
もちろん、受付体制、バース運用、検品の流れ、納品時間の集中を見直し、荷待ちそのものを減らすことは必要です。しかし、それだけでは足りません。どれだけ改善しても、納品現場では一定の待機が発生することがあります。
問題は、その待機時間を誰が負担するのかです。
着荷主の倉庫でトラックが待っている。外注倉庫会社の運用でバース待ちが発生している。検品担当者の都合で荷降ろしが止まっている。朝の受入時間に納品が集中し、毎日同じ時間帯に車両が滞留している。
こうした場合に、待機時間を運送事業者にそのまま負担させるのか。発荷主が待機料を支払うのか。着荷主が発荷主との取引条件の中で負担するのか。外注倉庫会社の運用が原因であれば、着荷主と倉庫会社との契約の中でどう扱うのか。
ここが曖昧なままでは、荷待ち問題は解消しません。
着荷主が運送事業者と直接契約していない場合でも、納品現場で発生している待機時間を「自社とは関係ない」と切り離すことは難しくなっています。自社の受入体制や、自社が委託している倉庫会社の運用によって待機が発生しているのであれば、その時間がどのように扱われているかを確認する必要があります。
誰も悪意がないまま、運送事業者に負担が残る
特に注意すべきなのは、誰も悪意を持っていないのに、費用負担だけが運送事業者に残っているケースです。
現場は順番に受け入れているだけで、倉庫会社は限られたバースで作業しているだけ。発荷主は納品先の事情だと考え、着荷主の本社は現場に任せている。ところが、その結果としてトラックが待ち、運転者の時間と車両の時間が使われています。
この待機時間を、誰も費用として扱っていないのであれば、それは取引条件として整理されていないということです。
令和9年4月以降、着荷主に求められるのは、現場担当者を責めることではありません。受付担当者や倉庫会社に「待たせるな」と言うだけでも不十分です。
必要なのは、荷待ちが発生した場合に、その時間をどのように記録し、誰が費用を負担し、発荷主・着荷主・運送事業者の間でどのように扱うのかを決めておくことです。
待機時間をゼロにすることだけが対応ではありません。
待機が発生したときに、それを誰かの無償負担として残さないこと。これが、着荷主の荷待ち対応で最も重要な点です。
荷待ち時間は、現場で発生します。
しかし、費用負担は現場だけでは決められません。発荷主との取引条件、運送事業者との運送条件、外注倉庫会社との業務委託条件が関係します。だからこそ、着荷主は納品現場だけを見るのではなく、待機時間が発生した場合の費用負担まで含めて確認する必要があります。
待機時間を誰が負担するのかを決めないままでは、荷待ちは結局、運送事業者の負担として残り続けます。

同志社大学卒業後、パナソニックの物流部門および物流子会社にて20年以上、物流法務と契約管理に従事。荷主企業と物流会社の双方での実務経験を持ち、現場の課題と制度の両面を熟知しています。
現在は行政書士として独立し、「荷主責任」を切り口に物流コンプライアンスの実務指導・契約チェック・社内研修を展開。『物流下請法』の著者として、出版やセミナーを通じて最新の法改正や実務対応を提言し、制度改善に向けた提言活動にも取り組んでいます。荷主責任に関する実務指導の第一人者として、高い評価を得ています。







