令和7年度物流特殊指定書面調査の結果

令和7年度物流特殊指定書面調査の結果

荷主105社に立入調査、779社に注意喚起文書――荷待ちは「現場の都合」ではなく取引条件の問題です

荷主105社に立入調査が入り、779社に注意喚起文書が送られました。

調査されたのは、特別な不正だけではありません。運賃を下げた、支払を遅らせた、契約外の作業を無償でさせたという典型的な問題だけでもありません。

今回、公正取引委員会が見ているのは、もっと日常的な物流取引です。

出荷準備が遅れて、トラックを待たせた。バースが混んでいて、予定時刻に積み込みが始まらなかった。納品先の都合で、荷降ろしまで時間がかかった。燃料費や人件費が上がっていることは分かっていたが、物流事業者から値上げの申出がなかったので、そのまま運賃を据え置いた

こうしたことは、多くの荷主企業にとって、これまで「現場で調整していること」だったはずです。物流事業者との取引関係の中で、はっきり問題として扱われてこなかった部分です。

しかし、今回の調査結果を見る限り、その前提は大きく変わっています

令和8年6月25日、公正取引委員会は「令和7年度における荷主と物流事業者との取引に関する調査結果等について」を公表しました。

今回の調査では、荷主30,000社、物流事業者40,000社を対象にアンケート調査が行われ、その結果を踏まえて、荷主105社に対する立入調査が実施されています。

立入調査の対象となったのは、労務費、原材料価格、エネルギーコスト等の上昇分について、取引価格に反映する必要性を協議しないまま価格を据え置いている疑いのある事案などです。

その結果、独占禁止法(物流特殊指定)上の問題につながるおそれのある行為を行った荷主779社に対し、具体的な懸念事項を明示した注意喚起文書が送付されました。

令和6年度の調査では、立入調査の対象は荷主100社、注意喚起文書の送付対象は荷主646社でした。今回は、立入調査が105社、注意喚起文書が779社です。

この数字が示しているのは、物流取引に対する監視が一段強まっているということです。

そして、その中心にあるのが、荷待ち、附帯作業、価格協議、支払条件です。いずれも、契約書の条文だけを見ていても分かりにくい問題です。実際の出荷、積み込み、荷降ろし、検品、伝票処理、支払処理の中で、物流事業者にどのような負担が発生しているかを見なければ分かりません。

物流取引は、運送を発注して終わりではありません。

出荷条件を決めること、納品時間を指定すること、作業範囲を曖昧にすること、価格協議をしないこと、支払を遅らせること。これらはすべて、物流事業者の負担に直結します。

今回の調査結果は、荷主企業に対し、物流を「現場任せの外注業務」としてではなく、自社の取引条件として見直すことを求めているといえます。


この記事を書いた人
行政書士 楠本浩一(行政書士法人運輸交通法務センター 代表)
パナソニックの物流部門・物流子会社にて20年以上、全国100か所以上の物流拠点に入り、契約、発注、支払、附帯作業、荷待ち、荷役、委託先管理の実務を確認してきました。
著書:荷主と物流会社のための物流下請法と「法令違反」防止ガイド

目次

1.令和7年度調査の概要

令和7年度調査は、荷主と物流事業者との間の「物品の運送又は保管に係る継続的な取引」を対象として実施されました。

荷主向け調査では、30,000社を対象にアンケートが送付され、14,855社が回答しています。回答率は49.5%です。物流事業者向け調査では、40,000社を対象にアンケートが送付され、11,227社が回答しています。回答率は28.0%でした。

調査対象期間は、荷主向け調査が令和6年10月1日から令和7年9月30日まで、物流事業者向け調査が令和7年1月1日から同年12月31日までです。

今回の調査で注目すべきなのは、アンケートだけで終わっていないことです。公正取引委員会は、調査結果を踏まえ、荷主105社に対して立入調査を実施しています。価格据置きの疑いがある事案などについて、書面上の回答だけでなく、実際の取引実態を確認しにいっているということです。

なお、公正取引委員会は、令和8年6月17日に改正物流特殊指定の改正を公表しています。ただし、今回の調査は、現行の物流特殊指定に基づき、運送や保管を委託する発荷主と物流事業者との取引を対象として実施されたものです。

令和9年4月1日からは、改正物流特殊指定が施行され、着荷主による契約外の荷待ち等も規制対象となります。

今回の調査結果は、その前段階として、現在の荷主と物流事業者との取引実態を示すものです。

2.注意喚起文書を受けた荷主は779社

今回の調査結果を踏まえ、公正取引委員会は、独占禁止法(物流特殊指定)上の問題につながるおそれのある行為を行った荷主779社に対し、注意喚起文書を送付しました。

業種別に見ると、製造業が422社で全体の54.2%を占めています。次いで、卸売業・小売業が225社で28.9%です。上位の業種としては、建築材料、鉱物・金属材料等卸売業、食料品製造業、飲食料品卸売業、協同組合が挙げられています。

この結果は、製造業や卸売業だけが問題だという意味ではありません。

製造業や卸売業では、出荷、集荷、納品、保管、在庫調整、納品先との調整が複雑になりやすく、物流事業者に負担が寄りやすいということです。工場の出荷口、倉庫のバース、納品先の受入時間、車両の到着時間、出荷の締め時間が少しずれるだけで、物流事業者には待機や追加作業が発生します。

多くの荷主企業は、物流そのものを軽く見ているわけではありません。むしろ、現場では長年の取引関係の中で、運送会社や物流会社に任せながら、何とか回してきたというのが実態だと思います。

しかし、これからは「任せてきた」だけでは足りません。

出荷時間を決めているのは誰か。納品条件を決めているのは誰か。バース混雑が続く拠点をそのままにしているのは誰か。附帯作業を当たり前のように依頼しているのは誰か。物流事業者から値上げの申出がないことを理由に、価格協議を先送りしているのは誰か。

そこを見なければ、物流取引の問題は整理できません。

荷主企業は、運送を外注しているだけではなく、物流事業者が動く条件を作っています。出荷準備、バース運用、発注変更、納品先との調整、支払処理まで含めて、自社の取引条件が物流事業者に一方的な負担を生じさせていないかを確認する必要があります。

3.最も多かった行為類型は「不当な給付内容の変更及びやり直し」

注意喚起文書の対象となった行為を類型別に見ると、最も多かったのは「不当な給付内容の変更及びやり直し」で406件でした。全体の38.6%を占めています。そのうち、荷待ちに関するものは279件です。

次に多かったのは「代金の支払遅延」で240件、続いて「買いたたき」が160件、「不当な経済上の利益の提供要請」が104件、「代金の減額」が71件となっています。

ここで見るべきなのは、件数の大小だけではありません。「不当な給付内容の変更及びやり直し」の中に、荷待ちが大きく含まれていることです。

荷待ちは、契約書の中では見えにくい問題です。契約書には、どこからどこまで何を運ぶか、運賃はいくらか、支払条件はどうするかといった内容は書かれます。しかし、実際の現場では、それだけでは終わりません。

トラックが到着してから、受付、待機、バース接車、積み込み、検品、伝票処理、出発までの間に、さまざまな待ち時間が発生します。納品先でも、受付、待機、荷降ろし、検品、受領印の受け取りまでに時間がかかります。

この待ち時間を誰が負担するのか。

ここを曖昧にしたままにしてきたことが、今回の調査で問題になっています。

4.荷待ちは物流現場の問題ではなく、取引条件の問題です

荷待ちは、物流現場の我慢で吸収されてきました。

荷主側から見れば、少し出荷が遅れただけかもしれません。バースが混んでいたのは、その日たまたまかもしれません。納品先で待たされたのは、発荷主から見れば自社の直接の管理外だと感じるかもしれません。

しかし、物流事業者側から見れば違います。

ドライバーは、待っている間も拘束されています次の配送に行けません。車両も動かせません。待機が長引けば、その後の運行計画、拘束時間、帰庫時間、翌日の配車にまで影響します。1台のトラックが2時間止まるということは、その2時間だけの問題ではありません。後ろに組まれている運行全体がずれていきます。

しかも、その時間は、必ずしも休憩ではありません。いつ呼ばれるか分からない状態で待つ時間です。バースに入れるのか、まだ待つのか、積み込みが始まるのか、伝票が出るのか。ドライバーは現場の動きを見ながら待ち続けます。

筆者は、メーカーの物流部門や物流子会社で、全国100か所以上の物流拠点を見てきました。その中で繰り返し見てきたのは、荷待ちが単に「バースが混んでいるから起きる」ものではないということです。

典型的なのは、製造部門と物流部門の情報がつながっていないケースです。

例えば、ある工場で、その日の配送分100個の生産完了予定時刻が18時だったとします。物流担当者はその情報に基づき、運送事業者に「18時に10トン車1台をお願いします」と配車を依頼します。ところが、実際には部品供給の遅れや人手不足で生産が遅れ、積み込み開始が21時になってしまう。トラックは18時に到着しているので、そこで3時間の荷待ちが発生します。

突発的なトラブルであれば、まだ事情は分かります。問題は、これが慢性的に起きている場合です。

製造現場では、生産完了が毎日2〜3時間遅れている。ところが、その情報が物流担当者に共有されていない。物流担当者は、予定どおり18時に積み込みが始まり、18時30分には出発できていると思っている。その認識のまま、毎日「18時にA工場着」という運送申込書を運送事業者に送っている。

この場合、荷待ちは現場の偶発的な遅れではありません。荷主側の情報連携と出荷条件の問題です。

本来であれば、ドライバーや運送事業者から「毎日3時間待っています」と声が上がり、翌月からでも集荷時刻を見直すべきです。しかし、実際にはそれが簡単ではありません。元請物流事業者、下請運送事業者、実際に走るドライバーという多重下請構造の中で、ドライバーの声が荷主まで届かないことがあります。

その結果、トラックは毎日18時に工場へ到着し、3時間待機したうえで、21時から積み込みを開始する。しかも、その3時間分の費用は支払われていない

これを「運送会社が調整している」「現場で何とか回っている」と見るのは誤りです。現場で待たせているように見えても、実際には待たせる条件を荷主側が作っている場合があります。

ここを見ないまま、「荷待ち費用は運賃に含まれている」と考えるのは危険です。

5.「物流事業者から値上げ要請がない」は安全ではありません

今回の調査では、「買いたたき」も160件確認されています。

買いたたきというと、物流事業者から値上げ要請があったにもかかわらず、荷主が一方的に拒否した場面を想像しがちです。もちろん、そのような対応は問題になります。しかし、今回の調査でより注意すべきなのは、物流事業者から値上げ要請がなかった場合でも問題になり得るという点です。

公正取引委員会の公表資料では、荷主が労務費等のコスト上昇局面にあることを認識していたにもかかわらず、物流事業者から運賃引き上げの要請がなかったため、協議の場を設けることなく運賃を据え置いていた事例が示されています。

これは、多くの荷主企業にとって他人事ではありません。

物流事業者は、荷主に対して値上げを申し出にくい立場にあります。継続的に仕事を受けている場合、「値上げを言えば仕事を減らされるのではないか」「他社に切り替えられるのではないか」と考えることがあります。特に中小の運送会社や倉庫会社は、取引を失うリスクを考えて、必要な値上げであっても言い出せないことがあります。

そのため、荷主側が「値上げ要請がないから問題ない」と考えるのは危険です。

公正取引委員会の公表資料では、望ましい取組として、少なくとも年1回、物流事業者と運賃交渉を実施し、運賃引き上げを求める物流事業者だけでなく、引き上げを求めない物流事業者に対しても、荷主側から「この価格で大丈夫か」と声をかけている事例が紹介されています。

このような声がけは、単なる配慮ではありません。コスト上昇局面で物流を継続するための取引管理です。

これからの荷主に求められるのは、値上げ要請を待つことではありません。荷主側から、今の運賃で継続できるのか、燃料費や人件費の上昇分を反映する必要がないのか、荷待ちや附帯作業の費用が運賃に含まれているのかを確認することです。

価格協議は、単なる値上げ交渉ではありません。

物流を継続できる条件を確認するための場です。

6.附帯作業と支払条件も、現場任せにしてはいけません

今回の調査では、「不当な経済上の利益の提供要請」が104件、「代金の減額」が71件確認されています。

物流取引では、運送に付随して、積み込み、荷降ろし、検品、仕分け、棚入れ、ラベル貼り、養生、梱包、通関関連の立替えなどが発生することがあります。

現場では、これらの作業が「ついでにお願いされる」ことがあります。荷物を降ろしたついでに検品を手伝う、棚入れまで行う、ラベルを貼る、納品先の指示で仕分ける。現場だけを見れば、数分から数十分の作業に見えるかもしれません。

しかし、ドライバーにとっては作業時間です。物流事業者にとっては人件費です。事故や破損が起きれば、責任の問題にもなります。

にもかかわらず、契約上の位置づけや対価が明確でないまま、運送に付随する作業として処理している場合、物流事業者に無償で負担させていると判断されるおそれがあります。

また、運賃や保管料から、安全協力費、協力値引き、事務手数料、管理費、リベートなどの名目で一方的に差し引いている場合にも注意が必要です。

名称が何であっても、あらかじめ合意した代金から一方的に控除している場合には、代金の減額として問題になる可能性があります。

支払遅延についても同じです。

社内処理の遅れ、本社への回付漏れ、長期休業などの理由で支払期日を過ぎていないか確認する必要があります。荷主側にとっては単なる事務処理上の問題であっても、物流事業者にとっては資金繰りに直結します

物流取引では、現場で起きていることと、契約・支払の処理が離れていることがあります。ここを放置すると、管理部門が知らないまま、現場で独占禁止法(物流特殊指定)上の問題につながる行為が続いてしまいます。

7.令和9年4月からは着荷主の行為も規制対象へ

今回の調査は、現行の物流特殊指定に基づき、運送や保管を委託する発荷主と物流事業者との取引を対象として実施されたものです。

しかし、公正取引委員会は、令和8年6月17日に物流特殊指定の改正を公表しており、改正後の物流特殊指定は令和9年4月1日から施行されます。

改正後は、着荷主が物流事業者を通じて発荷主に契約外の荷待ち等を行わせる行為も、新たに規制対象となります。

これまでの物流特殊指定では、主に発荷主と物流事業者との取引が中心でした。しかし、実際の物流現場では、荷待ちや荷役作業の発生原因が着荷主側にあるケースも多くあります。

発荷主が運送を委託していても、納品先である着荷主の都合により、長時間待機、契約外の荷役、納品時間の変更などが発生することがあります。

令和9年4月以降は、発荷主だけでなく、着荷主も含めたサプライチェーン全体で、物流事業者に一方的な負担をかけていないかを確認する必要があります。

発荷主にとっても、着荷主の問題だから関係ない、とは言い切れません。自社がどのような納品条件で取引しているのか、納品先でどのような待機や作業が発生しているのか、物流事業者との契約に含まれない負担が現場で発生していないかを確認する必要があります。

8.取適法(旧下請法)・貨物自動車運送事業法との連携も進む

令和8年1月1日からは、下請法が改正され、中小受託取引適正化法、いわゆる取適法(旧下請法)が施行されています。

取適法(旧下請法)では、新たに「特定運送委託」が適用対象取引に追加されました。これにより、一定の要件を満たす荷主から物流事業者への運送委託についても、取適法(旧下請法)の規制対象となります。

また、公正取引委員会、中小企業庁、国土交通省は、物流業界の取引適正化を阻害する行為に対して、取適法(旧下請法)や貨物自動車運送事業法を活用して対応するため、3省庁で執行情報を共有する連絡会議を定期的に開催しています。

今後は、物流特殊指定、取適法(旧下請法)、貨物自動車運送事業法がそれぞれ別々に動くのではなく、関係省庁が連携しながら物流取引の適正化を進めていくことになります。

荷主企業としては、「公正取引委員会だけの問題」「取適法(旧下請法)だけの問題」「運送会社側の問題」と切り分けて考えるのではなく、物流取引全体の管理課題として対応する必要があります。

9.荷主企業は、誰が何を確認すべきか

今回の調査結果を受けて、荷主企業が行うべきことは、単に契約書を見直すことだけではありません。物流取引に関わる部門ごとに、現場で何が起きているかを確認することです。

物流部門や倉庫部門は、まず荷待ちの発生状況を確認する必要があります。どの拠点で、どの時間帯に、どの程度の待機が発生しているのか。バースの混雑なのか、出荷準備の遅れなのか、伝票処理なのか、納品先の受入れなのか。原因を分けずに「荷待ち」とだけ捉えていても、改善にはつながりません

調達部門や購買部門は、物流事業者との価格協議の状況を確認する必要があります。値上げ要請があったかどうかだけではなく、荷主側から協議の機会を設けているか、燃料費や人件費の上昇分について話し合っているか、協議した内容を記録に残しているかが問われます。

営業部門も無関係ではありません。顧客に対して厳しい納品時間や細かい納品条件を約束している場合、その負担は物流現場に回ります。営業上の納期回答が、現場の荷待ちや無理な運行につながっていないかを確認する必要があります。

経理部門は、支払期日と控除項目を確認する必要があります。社内処理の遅れ、本社への回付漏れ、長期休業を理由に支払期日を過ぎていないか。安全協力費、協力値引き、事務手数料などの名目で、一方的な控除をしていないか。これは単なる経理処理ではなく、物流事業者の資金繰りに直結する問題です。

法務部門や管理部門は、契約書と現場実態が一致しているかを確認する必要があります。契約上は運送だけを委託しているのに、現場では荷降ろし、検品、仕分け、棚入れまで行わせていないか。契約上は車上渡しであるにもかかわらず、納品先の指示でドライバーが作業していないか。書面と現場がずれている場合、そのずれがリスクになります。

物流子会社や元請物流事業者を通じている場合も同じです。形式上は元請物流事業者との契約であっても、実際の現場で実運送事業者に過大な負担が生じていれば、荷主側の取引管理が問われる可能性があります。

確認すべきなのは、契約書の有無だけではありません。

誰が条件を決め、誰が作業し、誰が待ち、誰が費用を負担しているのか。そこまで見なければ、独占禁止法(物流特殊指定)への対応にはなりません。

10.まとめ

令和7年度の物流特殊指定書面調査では、荷主105社に立入調査が行われ、荷主779社に注意喚起文書が送付されました。

特に問題となったのは、荷待ちを中心とする「不当な給付内容の変更及びやり直し」、代金の支払遅延、買いたたきです。

今回の調査結果から明らかなのは、物流取引において、従来の慣習や口頭でのやり取りだけでは、荷主側のリスクが大きくなっているということです。

請求がなかったから支払わない。運賃に含まれていると思っていた。物流事業者から値上げ要請がなかった。社内処理が遅れただけ。現場同士で調整していた。

こうした説明は、今後ますます通用しにくくなります。

物流特殊指定、取適法(旧下請法)、貨物自動車運送事業法のいずれにおいても、荷主と物流事業者との取引は厳しく見られる方向に進んでいます。令和9年4月1日からは、改正物流特殊指定により、着荷主による契約外の荷待ち等も規制対象となります。

荷主企業は、運送契約、保管契約、附帯作業、荷待ち、価格協議、支払条件を改めて確認し、物流事業者との取引条件を説明できる状態にしておく必要があります。

物流取引の適正化は、単なる法令対応ではありません。

物流事業者に一方的な負担を押し付ける取引を続けていれば、いずれ輸送力の確保そのものが難しくなります

荷待ちをなくすこと、附帯作業の対価を決めること、運賃を協議すること、支払期日を守ること。

これらは物流事業者のためだけではありません。荷主企業が自社の物流を安定して維持するために、今すぐ取り組むべき経営課題です。

なお、公正取引委員会が今回の公表資料で示した荷主Aから荷主Xまでの具体的事例については、こちらの記事で詳しく解説しています。

※公正取引委員会の公表資料では、調査対象や注意喚起文書の送付対象について「名」と表記されています。本記事では、荷主企業向けの記事として読みやすくするため、本文中では「社」と表記しています。

法人代表 楠本浩一(くすもと こういち)プロフィール

同志社大学卒業後、パナソニックの物流部門および物流子会社にて20年以上、物流法務と契約管理に従事。荷主企業と物流会社の双方での実務経験を持ち、現場の課題と制度の両面を熟知しています。

現在は行政書士として独立し、「荷主責任」を切り口に物流コンプライアンスの実務指導・契約チェック・社内研修を展開。『物流下請法』の著者として、出版やセミナーを通じて最新の法改正や実務対応を提言し、制度改善に向けた提言活動にも取り組んでいます。荷主責任に関する実務指導の第一人者として、高い評価を得ています。

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